
舞台『神経衰弱ぎりぎりの女たち』に出演する、望海風斗さんにインタビュー。本作への意気込みを伺いました。
やりたいことの本質は、宝塚時代から変わってないんだなと
“神経衰弱ぎりぎり”とは、なんとも穏やかでないタイトル。確かに登場する女性たちはみな、恋人に振り回され、泣いたり怒ったり取り乱したりと大騒ぎ。しかしその姿が、傍から見ると馬鹿馬鹿しくもチャーミング。『神経衰弱ぎりぎりの女たち』は、そんなミュージカルだ。
「私が演じるペパは、恋愛体質で思ったことがすぐ口や行動に出てしまう人。感情がビビッドに切り替わるので、最初に台本を読んだときはそのスピード感に戸惑ったほどです。でも何度も読み返すと、感情が入り乱れつつも繋がっていて、その切り替わっていく瞬間が面白いんです」
物語は、望海風斗さん演じる主人公で女優のペパが長年の恋人イバンから別れを告げられるところから始まる。動揺する彼女に、イバンの元妻ルシアとその弁護士のパウリーナ、年下の親友カンデラなどが入り乱れ、事態は混迷を極めてゆく。
「恋人に捨てられて、ボロボロになりながらボロボロになりきれない、その芯の強さが魅力的です。ペパは、数日の間にいろいろな出会いや別れを経験して、自分がどう生きていくかという人生の選択をしていきます。彼女にとってものすごく貴重な数日間で、そこが見えたときにすごく素敵だなと思えたんです」
共演の“女たち”には、秋山菜津子さんや和希そらさん、長井短さんら、個性的なキャラクターが揃う。
「キャストを見たとき、すごくワクワクしました。ミュージカルと謳ってはいますが、お芝居の面でも登場人物それぞれの入り組んだ人生を濃く見せていく作品だけに、それぞれが持っているものを最大限に出し合わないといけない。今回はそれがすごく楽しみなんですよね」
演出は、『next to normal』でも組んだ上田一豪さん。
「台本を細かく分析して組み立てていくこだわりは強いのですが、それを俳優に押し付けたりはせず、こちらの気持ちの流れを汲み取ってくださいます。飄々と見えますが、この作品に出てきそうなくらいエネルギッシュでぎりぎりに生きているイメージがあります(笑)」
そう言う望海さんは、「ぎりぎりに焦りたくない」タイプ。作品に入る前には、台本を読み込む以外にも、役に必要な声を探り発声を練習しておくなど準備を怠らない。
「人に置いていかれたり、追い抜かされるのが嫌なんだと思います。だから先にスタートしておきたいという…(笑)。ただ今回、声は作り込まずにいこうと思っていて、無理しない今の自分自身のリアルな声を探していけたらと思っているんですよ」
そんな舞台への真摯な姿勢が認められ、今年2月に発表された読売演劇大賞で大賞と最優秀女優賞を受賞する快挙も。
「宝塚歌劇団退団後ずっと、自分が本当は何をやりたいのか、自分探しをしていた気がします。でも最近、やりたいことの本質は、じつは宝塚時代から変わってないんだなということに気づいたところです」
Profile
望海風斗
のぞみ・ふうと 1983年10月19日生まれ、神奈川県出身。宝塚歌劇団元雪組トップスター。2021年の退団後は、ミュージカルを中心に俳優として活躍。第76回芸術選奨演劇部門・文部科学大臣新人賞を受賞。近作にミュージカル『エリザベート』、舞台『マスタークラス』など。
information

『神経衰弱ぎりぎりの女たち』
ある日、女優のペパ(望海)は恋人のイバン(髙嶋)から唐突に電話で別れを告げられる。一方、イバンの元妻ルシア(秋山)も、彼を告訴しようとしていた。そんな中、ペパの親友のカンデラ(和希)の恋人が指名手配され…。
6月7日(日)~21日(日)東京・日本青年館ホール 原作/ペドロ・アルモドバル 脚本/ジェフリー・レーン 音楽・歌詞/デイヴィッド・ヤズベク 翻訳・訳詞・演出/上田一豪 出演/望海風斗、秋山菜津子、和希そら、長井短、溝口琢矢、黒川桃花、遠山裕介、髙嶋政宏ほか 全席指定S席1万5000円ほか 福岡、大阪、愛知公演あり。公式サイト
anan 2497号(2026年5月27日発売)より























