
シンガーソングライターの竹原ピストルさんにインタビュー。5月27日には8thアルバム『FIRST CRY!!』をリリースするなど、50歳を目前に控えた現在も精力的に歌い続ける理由、そして尽きることのない野心について語ってくれました。
『天下を取ってやる』っていう野心が変わらずある
人間の泥くささや日常の機微をリアルに描いた楽曲で支持され続けている竹原ピストルさん。50歳を前にして完成させたのがアルバム『FIRST CRY!!』。ラストに収められた「あたりまえの歌」はとある大先輩から贈られた言葉を引用しつつ、「死んだらもう歌えなくなるから 死ぬ気で歌い続けよう」という今の決意をこめた曲だ。
「10年くらい前にとある大先輩が『歌は50歳からだから大丈夫』って言ってくれてその言葉をお守りみたいにしていました。でも、いざ50歳を前にしてみると『あとどれくらい今が自分の全盛期だという想いで歌えるのかな』って思い始めたんです。ただ、2〜3年前から『こうやって歌ったらいいんじゃないか』っていう手応えを感じ始めていて。優しい気持ちでいるなら優しく歌えばいい。『こういうふうに歌ったらいいんじゃないか』っていうある種の芝居をしなくなりました」
フリースタイルラップのようなアプローチの「あたりまえの歌」は、思うがままに感情を吐き出した自由さが溢れている。
「とにかく韻を踏んで言葉遊びをしました。風景があるようでないような曲。40歳の時の自分だったら『こんな曲出しちゃだめだよ』って止めてたと思います(笑)。『楽しく曲を書いて楽しく歌ってるんだからいいじゃん』と思うようになりましたね」
フォーキーな「ありがとう」と「恋をして」に対しても「昔だったらリリースしなかった」と話す。
「自分で決めつけた“竹原ピストルらしさ”に縛られず、『楽しく作った曲をリリースしてしまおう』っていう気持ちは年々強まっています。創作が楽しくなっていく中で、読書をしたり映画を観て吸収することの楽しさも増しています。『何か曲が生まれたらラッキーだな』と思ってきょろきょろしている感じが精神衛生上、良い気がしますね」
迷いなく歌い続けられる理由をこう分析する。
「その時点での最高の曲を作り続けてきたつもりですが、『これ以上の曲は書けない』っていう曲はできていないですし、『これ以上のライブはもうできない』って思えるようなライブもできていない。自分で自分を認められてないし、まだいけるような気がしているから続けてるんでしょうね。バリバリ声が出ている大ベテランの方とご一緒すると勇気をもらいます。先輩は素直に“先輩”って思えるんですが“後輩”という概念はないんですよね。下の世代のアーティストの方とも同じ土俵に立っていると思っているのでライバル視しちゃう。歌を始めた頃からずっと『天下を取ってやる』っていう野心が変わらずありますね。お客さんの拍手や『あの曲が良かった』という言葉の中毒性からは逃れられなくて、抗いようのないやめられないゲームみたいなもの。60歳になった時も『絶対売れてやる』とか『最高傑作ができた』とか『自分のことを認めてない』とか思ってるのかな(笑)。自分でも楽しみですね」
Profile
竹原ピストル
たけはら・ピストル 2009年、2人組ユニット野狐禅の解散後、ソロ活動を開始。2017 年、『NHK紅白歌合戦』初出場。俳優としても日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞するなど、高い評価を得ている。
information

『FIRST CRY!!』
8thアルバム。配信シングル「千切り絵のように私は」「ばっちこ~い!!」の2曲を含む全13曲を収録。
【通常盤(CD)】 ¥3,500【生産限定アナログ盤(2LP)】 ¥5,500 【VICTOR ONLINE STORE限定セット(CD+トートバッグ)】 ¥7,500(SPEEDSTAR RECORDS)
anan 2497号(2026年5月27日発売)より






























