
左から、藤間爽子さん、森田剛さん
安部公房の代表作『砂の女』が、森田剛さんと藤間爽子さんの共演で舞台化されます。
人間の美しさと醜さの両方を、生で観て感じて体験する舞台
趣味の昆虫採集に夢中になり、見知らぬ砂丘の村で、未亡人がひとりで暮らす家に一夜の宿を求める一人の男。砂丘に深く掘った穴の中にあるその家は、上から断続的に砂が降り注いでおり、女は日がな一日、家から砂を掻き出していた。その翌朝、男は家の外に出るための縄ばしごが外されていることに気づく。蟻地獄のような家に閉じ込められた男は、やがてそんな状況を受け入れ始めて…。安部公房の代表作『砂の女』は、ファンタジックな設定ながら、人間の本質を描き出すシュールな展開で世界的に評価を集めている作品。その舞台化で、砂の家に住む女を藤間爽子さん、男を森田剛さんが演じる。
藤間 昨年、森田さんが主演の舞台『ヴォイツェック』を拝見しましたが、すごかったです。自分を自ら破壊していくような、ある意味、救いようのない役でしたが、大胆でダイナミックな強い部分と、女性が見たらちょっと救いたくなるような脆さというか弱さを感じさせるお芝居をされていて、すごく面白かったです。
森田 ありがとうございます。なんか噂で聞きました(笑)。僕はこのポスター撮影でご一緒したときに、とても思い切りのいいサッパリとした方なんだなという印象を受けて、とても安心しました。
藤間 初対面でいきなり結構肌の見える感じでの撮影でしたからね。
森田 それでも躊躇せずにスパッとやられていたので、気持ちのいい方だなと思って安心感が湧きました。
藤間 ありがとうございます(笑)。この作品って、ありえない設定なのに、こんな村が実在するんじゃないかと思わされるくらいリアリティがあって、自然と引き込まれるというか…迷い込んでいく感覚になる作品ですよね。現実の自分や人生に重ねて考えさせる部分もありますし。
森田 僕はもともと映画の『砂の女』が好きだったんですよ。なにより出てくる“女”が魅力的です。釘付けになって観ちゃいます。
藤間 それを今回自分が演じると思うとプレッシャーですね。ただ、最初はミステリアスな女性だと思っていたけれど、台本を何度か読むうち、彼女自身は生きるために働いて、ただ普通に生活しているだけなのかもしれないとも思い始めて。
森田 閉鎖的な空間でのお話だし、大きかったり小さかったりする感情の揺れを、丁寧に積み上げていったら、面白くなりそうな気がして。
藤間 不思議な世界観ですし、わかりにくい作品のように思われるかもしれないですけれど、私たちが普通に生活している中でも、恋人だったり友だちだったりの理解できない行動ってありますよね。それでも人間同士だし理解したいと思う。今回、私が演じる“女”も、謎めいたところがありますけれど、なぜ彼女がそんな行動をとるのか、想像しながら観ていただけたらと思っています。
森田 人間の美しいところ、醜いところを生で観て体験してもらえるのが舞台の面白さだと思うので、それを体験しに来てもらいたいなと思います。それにはまず僕らが必死こいてやらないとですよね。そうじゃないと何も伝わらないと思うから。
藤間 目の前で人間の感情が交差していく様を見て何を感じるのか、楽しんでいただけたら嬉しいです。
Profile
森田 剛
もりた・ごう 1979年2月20日生まれ、埼玉県出身。俳優として数々の舞台、映像作品に出演。2021年には自身の企画・主演で短編映画『DEATH DAYS』を製作し話題を呼んだ。近作に舞台『ヴォイツェック』。
藤間爽子
ふじま・さわこ 1994年8月3日生まれ、東京都出身。日本舞踊紫派藤間流の家元であり、俳優としても数々の舞台や映像作品に出演。近作にドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』『良いこと悪いこと』など。
information

『砂の女』
砂地に深く掘られた穴の中に人々が暮らす村。そこに住む女(藤間)の家に一夜の宿を求めた男(森田)は、村人に騙され村からの脱出経路を断たれてしまい…。3月19日(木)~4月5日(日) 新宿・紀伊國屋ホール 原作/安部公房 脚本・演出/山西竜矢 出演/森田剛、藤間爽子、大石将弘、東野良平、永島敬三、福田転球 全席指定1万1000円 仙台、青森、大阪公演あり。https://stageoffical.com/sunanoonna
藤間さん・ジャケット ¥66,000 シャツ ¥66,000 パンツ ¥44,000(以上MIKAGE SHIN/MIKAGE SHIN, INC. TEL. 050-3131-8658) チョーカー ¥36,300(e.m./e.m. 青山店 TEL. 03-6712-6797) リング ¥14,300(Soierie TEL. 06-6377-6711)
写真・樽木優美子 スタイリスト・松川 総(森田さん) 能城 匠(TRON/藤間さん) ヘア&メイク・高草木 剛(VANITES/森田さん) TOMOE(artifata/藤間さん) 取材、文・望月リサ
anan 2486号(2026年3月4日発売)より












