骨盤のこわばりをほぐして、姿勢のクセもカラダの不調もリセット。ここでは、お尻や脚のラインを崩す主な原因、反り腰を整えるメソッドをご紹介します。
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骨盤を正しい位置に戻せば姿勢も整う
骨盤は歪むのではなく、実は骨盤の回転する力が強く、ある方向で固まってしまっただけなのだ、と理学療法士の土屋元明さん。
「骨盤は前後、左右、上下の3方向に回転するんですが、姿勢や動きのクセなどで、どちらかの方向に回転したまま筋肉が固まってしまい、歪んだように見えるんです。だから、普段とは逆方向に骨盤を回転させたり、3方向の回転をしっかり再現すれば、骨盤は本来あるべき場所に戻ります」
本来あるべき場所がニュートラルポジション。上半身と下半身を繋ぎ、体を支える要の骨盤が正しい位置に戻れば、姿勢も整う。
「必要なのは、骨盤の正しい位置と、3方向の動きを体に覚えさせること。その結果、悪い姿勢や動きのクセをリセットできますよ」
【前後左右の動きでケア】お尻や脚のラインを崩す主な原因“反り腰”を整える
反り腰には出っ尻、前反りの2タイプが。タイプ別の骨トレで、骨盤の柔軟性が復活。
出っ尻タイプ

頭より後ろにお尻が引け、骨盤の前傾が強めのタイプ。腹筋が弱い人が多く、腰まわりの筋肉や、上半身と下半身を繋げる筋肉・腸腰筋は硬くなり、骨盤の動きを妨げてしまう。
【TRAINING 1】膝を抱え込む動作で、骨盤まわりを緩める
骨盤が前傾したまま固まっている出っ尻タイプには、膝を抱えて腰を丸める動きが効果的。

1、仰向けになり、左膝を曲げ、両手で抱える。左の股関節を深く曲げることを意識して。

2、頭を持ち上げ、左膝と顔を近づける。1~2をゆっくり5回繰り返したら右側も同様に。

【NG】膝を浮き上がらせない。
前反りタイプ

体重が前方にかかり、お尻が前に出ることで腰が過度に反り返ってしまうタイプ。前方にかかる体重を支えようと膝が反りきっている。全体的に筋力がなく疲れやすい人に多い。
【TRAINING 1】カチカチのお尻の筋肉と腰の筋肉をストレッチ
硬くなっている太もも裏からお尻、腰のラインをストレッチ。腰や脚の疲労もリリースできる。

1、両脚を伸ばして座り、指先を足に近づけた長座体前屈の姿勢になる。できる範囲でOK。

2、頭と膝をさらに近づける。反動をつけずにゆっくりと、痛みのない範囲で10回行う。

【NG】両膝は曲げないで!
出っ尻タイプ・前反りタイプ 共通
【TRAINING 2】骨盤を大きく回すだけで、前後左右の可動域が復活
骨盤全体を前後左右に大きく動かせば、骨盤、腰、股関節の柔軟性が改善され、全身が整う。

【SET】足を骨盤幅程度に開いて立つ。両手は背面の腰に当て、肩の力は抜いてリラックス。
※BACK…腰が反らないよう両手で背中とお尻の皮膚を下にずらすように押さえて骨盤を大きく回す。
1、両手を腰の上に当てたまま、時計回りに大きく綺麗な円を描くよう骨盤を回転させる。
2、回転させる際に、頭の位置を変えず、足を動かさないのがポイント。時計回りに5回行う。
3、反時計回りも5回。苦手な方向は特にゆっくり丁寧に回すと、骨盤のクセを修正できる。
TRY! トレーニングが終わったらニュートラルポジションで立つ!
骨盤が正しい位置にあるニュートラルな立ち方を体に覚えさせよう。

【出っ尻、前反り共通】頭を起こして顎を引き、遠くを見るようにする。
遠くを見るように頭を起こし、骨盤のちょうど上に頭がくるようにする。顎を上げたり、引きすぎたりしない。
【出っ尻の人は…】後ろに行こうとするお尻に待ったをかける。
お尻が後ろに引けないよう、みぞおちを軽く引き上げるようにする。背骨への負担が減り、最小限の力で立てる。
【前反りの人は…】お尻を少し後ろに引き、重心も後ろに移動。
軽くお尻を後ろに引き、いつもより重心が後ろになるイメージで立つ。両膝をピンと伸ばさず、少し緩めるのも大事。
お話を伺った方
Profile
土屋元明
理学療法士。インソールとリハビリの専門院「動きのこだわりテーション」を主宰。近著に『マイナス10 歳を手に入れる骨盤メンテ』(運動と医学の出版社)がある。
写真・中島慶子 スタイリスト・仮屋薗寛子 ヘア&メイク・浜田あゆみ モデル・岩田絵莉佳(セントラルジャパン) 取材&文・板倉ミキコ
anan 2465号(2025年10月1日発売)より