
左から、赤木裕さん、きむらバンドさん
『M-1グランプリ2025』の王者に輝いた、たくろうの二人。決戦の舞台裏からコンビ結成秘話、きむらさんの“赤木さん愛”まで。“返り咲き最長”のサクセスストーリーをお楽しみください!
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『M-1グランプリ2025』(以下、M-1)の決勝戦では、例年に輪をかけてレベルの高い漫才が繰り広げられた。迎えた最終決戦でエバース、ドンデコルテという実力派に圧倒的な差をつけて第21代王者に輝いた、たくろう。赤木裕さんの挙動不審のボケに対して、きむらバンドさんが優しいツッコミをするというスタイルが話題だ。
きむら どうも、たくろうです! メガネのパーマきむらバンドと。
赤木 えー…たけのこ泥棒、赤木です!
── たけのこ泥棒…!(笑)
赤木 ananさんといえば、たけのこ泥棒かなと思い。
きむら どんな雑誌や思てんの!
── 改めて、M-1優勝おめでとうございます!
二人 ありがとうございます!
── 芸人さん同士は仲間意識が強そうですが、M-1はみなさん人生をかけて臨む賞レース。裏側は殺伐としていたりするんですか?
きむら 笑神籤(えみくじ)で呼ばれた時は「よし行ってこい」みたいな。ライバルでもあるけど、送り出してくれるような雰囲気です。ドンデコルテの(渡辺)銀次さんは、決勝進出が決まった時「いい大会にしましょうね」って言ってたよね。
赤木 主催者側みたいにね。ただ、豪快キャプテンの山下ギャンブルゴリラさんが「次呼ばれるのは絶対俺ら。わかるから」って相方のべーやんさんに「準備しとけ」と言ったのに笑神籤でエバースが当てられて、あれ~? って。
きむら 戦闘体制になった時に、山下さんの黒目がバッと大きなったんですよ。でもエバースだとわかった瞬間に黒目がキュッと縮まって。今日の豪快キャプテン、やばいんちゃうかと思いました。この時だけでした、和が乱れたのは。
── 優勝した瞬間のお気持ちは?
きむら 信じられへんかったです。喜びよりも、ほんま? って。
赤木 テレビでずっと見ていた映像やったから、他人事みたいで。
きむら 一瞬ぐっときたんですけど、隣で赤木が低く「ェ~~」ってミニオンみたいな声出してたんで、泣いたら恥ずかしいと思って持ち堪えました。本当に優勝を実感したのは、ホームの大阪の劇場に戻った時。先輩、同期、後輩から「おめでとう」って言われて、嬉しかったですね。
赤木 僕はM-1の翌日に大阪に帰って最寄りのコンビニで買い物したら、店員さんがチキンをサービスしてくれたんです。もうこんなところまで知れ渡っているんだって、嬉しかったです。
きむら チキン、美味しかった?
赤木 いや、晩ごはんは食べちゃってて、チキンか…って。でも頑張って食べましたよ。
きむら 美味しいでええやろ!
絶対に一生過ごす、と決めた人としかコンビを組みたくなかった

YouTube「お笑い芸人のたくろうチャンネル」では、“赤木を尾行”企画やコンビ2人きりでの打ち上げ回など、自由な企画の動画を毎週日曜21時に更新中。今年1月には初となる『たくろうのオールナイトニッポン』が放送。4月からは、活動拠点を大阪から東京へ移す。
── コンビ結成の経緯を教えてください。
きむら 2016年に、僕の同期のチェリー大作戦の宗安聖が「面白いヤツ余ってるけどどう?」って1期下の赤木を紹介してくれて、ファミレスで会うことになったんです。顔も知らなかったけど、絶対芸人や! ってヤツがいて。顔を見た瞬間、こんなおもろいヤツおる? って一目惚れでした。
赤木 当時は48kgでカリッカリ。
きむら でっかいリュック背負って、2Lの水のボトルを赤子のように抱いていたんです。それとは別にフルーツグラノーラのでっかいパックも持ってて、ちょっと歩いたら開けて、鳩みたいにちょこちょこっと食べて水流し込んでて。
赤木 金なかったんで。1パックで1か月ぐらい持ちました。
きむら こんなギリギリで生きてるヤツ、なんかやらかしそうだと。
── 当時はお互いピンで?
赤木 はい。僕はNSC時代に組んでいた相方が、首席を取れなかったという理由で辞めてしまって。1年ぐらいピンで“アホマッチョ刑事”という、アホやけどマッチョやから全部解決する刑事のネタをして滑り続ける毎日でした。
── ガリガリなのに…。
赤木 マッチョスーツ着て(笑)。作家さんに毎週ダメ出しされて、ここを変えたほうがいいって言われるのを全部無視して、次も同じネタを同じ作家さんに見せて。
きむら 作家さんからしたら怖いねん。この子、何やねん? って。でもそんなおもろい赤木とコンビ組みたくて、結構口説きました。
赤木 ラッキーでした。アホマッチョ刑事をやめたかったから。
── M-1の密着ドキュメンタリー番組『アナザーストーリー』では「ネタが出来上がるまで赤木のペースに合わせて待つ」とか「人生でこんなタイプの人に会うことないって人が現れた」などきむらさんの発言について、赤木さん愛が深いと話題になりましたね。
赤木 気をつけてください。「口説いた」とか「一目惚れ」とか。BLだと思われてるんですよ。
きむら 僕、BLがわからなくて同期の女性芸人に聞いたら、「二人は違いますよ」って言われたよ。
── 包容力があるという意味かと。
きむら 全然ちゃうやないか!
赤木 いや、ほぼBLですよ。
きむら 僕は、絶対に一生過ごすと決めた人としかコンビ組みたくないと思っていただけ。
赤木 危ない、それBLの!
きむら 過敏やって(笑)。じゃあ二人の関係性を聞かれたら、次からどう答えたらいいの?
赤木 「ちげぇよ、おまえ。赤木なんてあっち行け!」って。
きむら じゃあananさんで最後にしようか。
赤木 今後は「かかってこいよ、ぶっとばすぞ」でいきます。
きむらさんは明るくて、コミュニケーション力が高いので助かってます

── ところで今まで、カベポスターさんやバッテリィズさんなど、同期が売れていく様子を見てきたと思いますがどんな心境でしたか。
きむら 最初は悔しい気持ちはありました。でも同じく同期のダブルヒガシが『ABCお笑いグランプリ』で優勝した時に、誰がどう見ても面白くて。それは素直に面白いでええか、って思ったんです。そもそも僕、ガッツ溢れる感じとかほかを蹴落とすみたいなのが苦手なんですよね。面白いヤツは評価されるべきだと認めようって。ただ僕らが手を抜いたらあいつらから離されるだけやから、手は抜かんでおこうと。
赤木 前年のM-1でバッテリィズさんが決勝に行ったのを見て、俺らもああなれる可能性があるんや、いけるぞ、って感覚はありました。バッテリィズさんも苦労されてきたタイプなんで。
きむら 僕らは2018年に準決勝に行ったけど、敗者復活戦でタイムオーバーして一気に注目されたんで、そういう意味では世間への認知は早かったんですよね。だからその後、徐々に成績が下がる中、焦りはありました。
赤木 このペースでいったら来年は決勝や、ぐらい思っていたのに、準決勝にすら戻れない6年間。“やばい、やばい”って。
きむら どんどんしんどくなっていったね。僕ら“返り咲き最長”らしいですけど。
赤木 準決勝進出した時に二人ともバイト辞めたんですけど、収入が月10万を切り始めて、バイト再開しなあかんのちゃうかって。
── ちなみに当時何のバイトを?
きむら 僕はコンビニの夜勤。
赤木 僕は釣り堀でした。
── 釣り堀、似合いますね。
きむら 赤木は散々バイトをクビになってるからね。
赤木 遅刻もそうだけど、焼き肉屋さんで働いてた時は、お客さんが多なりすぎて、注文されても「わかりました!」って言うだけ言って注文を通さなかったんです。
きむら 「はい!」って返事だけはいいけど、いつまでもカルビこうへんやんけ。そりゃクビですよ。
── 苦しい時期に喧嘩になったりしなかったんですか?
きむら 基本ないですね。お互いものを言うタイプではないので。
── どう慰め合ったのでしょうか。
赤木 危ない、それBL!
きむら おい、あっち行け!
── 今日まではBLでいくと…。
赤木 BLちゃうちゃう!(笑)
きむら でも一度だけ僕が爆発したことはありました。赤木がネタ作ってこないし、遅刻もするしで。「このままやったら解散するで」と言ったら、赤木がぼそっと「みんな俺から離れていくわ」って言ったので、改心したと思っていたんです。でも赤木がアナザーストーリーで「解散をお断りした」という言い方をしていて。えっ、そういう感覚やったんやって。
赤木 アナザーストーリーはM-1翌日の徹夜状態の時に撮ったからヘロヘロで。相方愛を語らないと帰してもらえない雰囲気だったんです。だから何を喋ったか自分でもわかってなかっただけ。
きむら 取り調べみたいに(笑)。
── お互いの好きなところ、直してほしいところを教えてください。
赤木 はい!
きむら 返事早いな!
── そうやって焼き肉の注文を通さなかったんですね(笑)。
きむら そのクセはあります(笑)。
赤木 きむらさんは明るくて、コミュニケーション力が高いので助かってます。僕はあまりコミュニケーションが得意ではないので。直してほしいところは、なんやろな…歯かな。せっかく賞金もらったんで、歯並びを直してほしい。
きむら 大好きな木村拓哉さんが割り箸を口にくわえて割るのをマネしたいけど、歯並び悪くてできへんくて。直してあれやりたい。
赤木 普通にかっこいい。
きむら ほんま? 赤木の直してほしいところは、やっぱり歯。同期のドーナツ・ピーナツのピーナツが結構ニオイに敏感で、赤木の口からすっごい変なニオイがするって言い出して。それで歯医者に行ったら虫歯が10本あったんです。
赤木 深刻だった3本は治しましたよ。軽いのはまだやけど。
きむら まあ僕も蓄膿なんでニオイに気づかないんですけどね。そういう意味ではコンビの相性は良かった。赤木の好きなところは、もちろん面白いところ。普段から変で、こいつ何してんねやろとか思いながら見てる時ありますから。
── 赤木さん愛ですね。
赤木 まずいって!
きむら あっち行けって!(笑)
Profile
たくろう
右・きむらバンド 1990年1月28日生まれ、愛媛県出身。NSC大阪校36期生。ツッコミ担当。左・赤木裕(あかぎ・ゆう) 1991年10月24日生まれ、滋賀県出身。NSC大阪校37期生。ボケ担当。2016年3月にコンビを結成し、昨年『オールザッツ漫才2025』『M-1グランプリ2025』で優勝を果たす。
anan 2486号(2026年3月4日発売)より












