当代の人気噺家・春風亭昇太&柳家喬太郎が、噺家役で共演!? ラッパ屋の第50回公演

エンタメ
2025.04.18

左から、柳家喬太郎さん、春風亭昇太さん

市井で必死に生きる、おもしろおかしく情けないけど素敵な人々の姿を描いてきたラッパ屋。近年は年1回ペースで劇団公演をおこなってきたが、このたびめでたく50回目に。今回描かれるのは、戦時下に時局にふさわしくない落語の上演を禁じられた噺家たちの物語。なんとその役を、本物の噺家であり落語界で人気・実力ともにトップを走る春風亭昇太さんと柳家喬太郎さんが演じる。

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当代の人気噺家のふたりが、噺家役で共演!?

春風亭昇太さん(以下、昇太):昔からラッパ屋さんの芝居は観てきていて、鈴木(聡・ラッパ屋主宰)さんに禁演落語の話をしたのも僕なんですよ。それが今回芝居になると聞いて、当然オファーがくるとは思っていたんですが(笑)。

柳家喬太郎さん(以下、喬太郎):僕も以前からラッパ屋ファンでしたし、初めて出た本格的な演劇が鈴木さんの作品でもあるし。だからオファーがなかったら「へーっ」ってなったと思います(笑)。

昇太:ラッパ屋って、普通の人が持ついいところと、ダメなところやズルいところを、オブラートに包まず描いているのが心地いいんです。

喬太郎:あったかいんだけど、そこで大上段に振りかぶらず、適度に毒もあって、押し付けがましくないんですよね。観終わったあとに、お酒やごはんが美味しくなるお芝居というか。そこはちょっと落語に近い。

昇太:今回のお話も、時代に振り回されながらも、それを不幸だと嘆くより、なんとか時代に合わせて生きのびようとする噺家とか普通の人たちの力みたいなものが描かれるんじゃないかと思うんです。

喬太郎:戦時下には国策落語も作られて、それをやっていた噺家も多かったんです。戦争が終わった途端、手のひらを返して禁演落語をやり始めたけれど、それを世間の誰も責めなかった。噺家なんてそんなもんだと思われているのかもしれないけれど、そのたくましさがいいですね。

昇太:演じるのは楽しみではあるんですけれど、責任が重いなとは思ってるんです。落語は、普段ひとりでやってるから自分でなんとでもできるけど、演劇はそうはいかないし。

喬太郎:ちゃんとセリフを覚えなきゃいけないですもんね。ざっくり覚えれば物語を紡げる落語と違って、演劇の場合、僕がこの言葉を言わなきゃ相手が次のセリフを言えない、ということがあったりしますから。

昇太:僕はよくサッカーに例えるんだけど、落語はフリーキックで演劇はパス回しなんですよね。点を取ることは一緒でも、チームメイトとの連携が大事なぶん、フリーキックでは得られない喜びがありますよね。

PROFILE プロフィール

春風亭昇太

しゅんぷうてい・しょうた 1959年12月9日生まれ、静岡県出身。2006年より『笑点』(NTV系)に出演し、’16年からは司会に。ドラマや舞台など俳優としても活躍。

柳家喬太郎

やなぎや・きょうたろう 1963年11月30日生まれ、東京都出身。舞台や映画で俳優としても活躍。2017年には映画『スプリング、ハズ、カム』で主演も務めた。

INFORMATION インフォメーション

ラッパ屋 第50回公演『はなしづか』

戦時下の下町。長屋に住む噺家の昇介(昇太)、喬次(喬太郎)、伊吉(ラサール)は友人にしてライバル。ある日、時局に合わない落語を禁演落語に指定するというニュースが飛び込んできて…。上演中~4月23日(水) 新宿・紀伊國屋ホール 脚本・演出/鈴木聡 出演/春風亭昇太、柳家喬太郎、ラサール石井、おかやまはじめ、俵木藤汰、岩橋道子、弘中麻紀、大草理乙子、岩本淳、中野順一朗、浦川拓海、宇納佑、熊川隆一、武藤直樹、ともさと衣、椎名慧都(劇団俳優座)、松村武(カムカムミニキーナ) A席6500円 B席5500円ほか(各種割引あり) サンライズプロモーション東京 TEL:0570・00・3337(平日12:00~15:00)

詳しくはこちら

写真・土佐麻理子 取材、文・望月リサ

anan 2443号(2025年4月16日発売)より

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