糖質の代わりに脂質を摂ると“痩せスイッチ”がオンになる!? なぜ糖質は太りやすく、脂質は太りにくくなるのか…。“脂質起動”の提唱者が、その理論を徹底的にレクチャー!

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    エネルギー源を糖質から脂質に。ダイエットの味方“脂質起動”とは?

    脂質を摂ると、脂肪が燃えやすい体に!

    ボディメイクしたいなら、運動して体を動かすことはもちろん必要だが、食事の摂り方も重要。健康的な食生活を送るために、糖質や脂質をできるだけ減らして、筋肉の材料となるタンパク質を積極的に摂取するという考え方が広く浸透しているが、「実は健やかな体を作る上で、脂質は欠かせない」と話すのは、“脂質起動”を提唱する医師の山田悟さん。

    「糖質と脂質は、日常生活やスポーツでの身体活動に使われるエネルギー源です。だからどちらも制限してしまうと全体の摂取カロリーが減り、エネルギー不足により代謝が落ちて、痩せスイッチも入りにくくなる。また、ダイエットをしたことがある方なら分かると思いますが、カロリー制限はつらくてなかなか継続できず、リバウンドしやすい。ただ糖質は、血糖値を上げる唯一の栄養素であり、摂りすぎると疲れやすくなったり体に悪さをしたり、肥満を招くため、過剰摂取は控えるべきです。一方で脂質は、血糖値上昇にブレーキをかける働きがあり、食欲も抑えてくれる。カロリー摂取が高くなったとしても、寝ている間のエネルギー消費が高まり、満腹感も得やすくなるので、積極的に摂るべきだといわれるようになっているのです。また面白いことに、人の体は糖質を食べれば主に糖質を、脂質を食べれば主に脂質をエネルギー源として燃やすようにできている。だから脂肪が燃えやすい体を作るためには、良質な脂質の摂取が必要なんです」

    そこで生まれた新概念が“脂質起動”。これは、特に食事の最初に良質な脂質を摂ることで血糖値上昇を抑えつつ、同時にメインのエネルギー源を糖質から脂質にシフトすることで、体の代謝システムを変化させていくというもの。世界的に様々な研究が進み、脂質に対する考え方が見直されてきた。

    「2015年にアメリカの食事摂取基準で脂質の上限量が撤廃されるなど、世界的に考え方が変化しています。また少し前に、野菜から先に食べて痩せる“ベジファースト”という食事法が流行りましたが、これは、野菜にかけるドレッシングが効いていたためともいわれ、実は“オイルファースト”が良いといわれ始めてきています」

    糖質を摂ると太りやすく、脂質を摂ると太りにくくなる具体的な理由は下記のまとめを参考に。では、糖質、脂質とともに、三大栄養素のひとつであるタンパク質は、脂質起動の考えの中ではどういう扱いになっているのだろうか。

    「筋肉の材料になるタンパク質も体作りには欠かせません。ただし、摂取カロリーが不足すると、本来体を作る材料となるべきタンパク質が燃えてしまうため、タンパク質をきちんと筋肉に変えるためにも、脂質を摂取することが大切」

    糖質を摂ると太りやすい理由

    ① 体脂肪の分解を抑える

    「糖質を過剰に摂取すると食後に血糖値が一気に上がり、それを下げようと膵臓から大量に分泌されるホルモンが『インスリン』です。血糖から体脂肪の合成を促し、体脂肪の分解を抑える働きがあるため、肥満になりやすいのです」(山田さん)。また糖質を過剰に摂取し続けると糖尿病のリスクが高まり、心臓病、脳卒中、がん、認知症といった深刻な病気につながる可能性も。

    ② 脳が省エネモードに突入する

    血糖は脳の基本エネルギー源のため、糖質を摂取して食後に血糖値が上昇し、インスリンが後から分泌されると血糖値が急激に下がり、集中力が低下。「燃料が少なくなったと勘違いして、眠気や倦怠感が生じます。人によっては飢餓感を覚えることも。糖質摂取を適正にしたり、先に脂質を摂取するなど食べる順番を工夫することで、血糖値は安定し、脳は安定して働くことができます」

    ③ 空腹感をもたらす

    糖質はたくさん食べられてしまうだけでなく、すぐにお腹がすく。「これも血糖値の急激な変動により、インスリンが過剰に分泌されることで起こる現象。インスリンは、かえって飢餓感をもたらしうるホルモンなのです」。また血糖値が高くなると、過剰な糖が尿中に排出され、それによって膀胱炎や腎盂腎炎、カンジダ感染症など女性特有の感染症になりやすくなることも。

    脂質を摂ると太りにくくなる理由

    ① 脂肪の分解が促進される

    脂質をエネルギー源にすると、体についた脂肪を効率よく燃やすことができる。「それは体内のエネルギー需要が高まると、脂肪細胞に蓄えられていた脂肪を分解してくれるから。また脂質の摂取は、糖質とは異なりインスリンの分泌を抑えられるため、体脂肪の脂肪を取り込む酵素の働きが弱まり、脂肪を放出する酵素が活発に。つまり体脂肪が落ちやすくなります」

    ② 運動パフォーマンスが上がる

    脂質は、高カロリーでも満腹感を得られる効率のよいエネルギー源。だが、人間の体はエネルギー源として糖を優先的に使うようにできているため、糖質を摂ると脂質消費が後回しに。「それが血糖値の乱高下を生み、体を疲れやすくさせています。一方で、糖質の前に脂質を摂取すれば、血糖値の乱高下が抑制され、エネルギー消費量が上がり、基礎代謝量が増えて冷え症も改善されます」

    ③ 食欲を抑えられる

    脂質は、糖質と比べて摂りすぎるということが少ない。脂質の摂取は消化・吸収に時間がかかるため、長時間の満足感をもたらしつつ、カロリーの欠乏を避けられてお腹がすきにくいのが大きなメリット。「また、脂質を摂ると食欲を抑える『レプチン』『ペプチドYY』というホルモンが分泌され、脳の満腹中枢に作用。食欲をコントロールしてくれるのも大きな要因です」

    教えてくれた方

    Profile

    山田 悟

    医師、医学博士。北里大学北里研究所病院院長補佐、糖尿病センター長。著書の『糖質疲労』が18万部を突破し、その続編となる『脂質起動』(共にサンマーク出版)も話題沸騰中。

    イラスト・小迎裕美子 取材、文・鈴木恵美

    anan 2482号(2026年2月4日発売)より
    Check!

    No.2482掲載

    ボディコントロール2026

    2026年02月04日発売

    毎日取り入れて習慣化でき、健康面でも嬉しいプログラム。壁さえあれば実践できるウォールピラティス、寝たままウエストしぼり、バランスよく整えるコンディションウォーク、シルエット美人になれる首肩ほぐしトレ、料理家さんの調整レシピ、話題の脂質起動など、話題のメソッドをご紹介。

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