今日から始めたい、骨にいい1日24H

骨は目に見えないからこそ、毎日の意識付けが何よりも大事! そこで1日24時間の生活の中で、少し意識するだけで骨活に繋がる実践的アクションを、2人の識者が朝から夜まで時系列に沿って指南します。

Index

    教えてくれた方々

    Profile

    鈴木敦詞

    藤田医科大学 羽田クリニック院長。生活習慣病・内分泌疾患とエイジングサイエンスに取り組む内分泌・代謝・糖尿病内科専門医。国際骨粗鬆症財団アジア・太平洋地域代表理事でもあり、骨粗鬆症の予防と治療に精通。

    河村玲子

    管理栄養士、パーソナルトレーナー。パーソナルコンディショニングスタジオRAF代表。体の内外両面からアプローチする本質的なカラダづくりをコンセプトに活動。雑誌の監修などをはじめ、メディア実績多数。

    骨の健康は生活リズム・食習慣・運動で作られる

    骨は一生ものと思われがちだが、実は、古くなり劣化した骨は、メンテナンスされて新しい骨へと生まれ変わり続けている。

    「骨を壊す働きを『骨吸収』、骨を作る働きを『骨形成』と呼び、私たちのカラダは『骨代謝』を繰り返し行い、健康な骨を維持しています。しかし栄養不足や運動不足により骨吸収が骨形成を上回ると、カルシウムの貯蔵庫である骨からカルシウムがどんどん出てしまい、骨量が減少します。また、自律神経やホルモンバランスの乱れも、骨密度を低下させます。そのため骨の健康維持には、規則正しい生活リズムと食生活や運動が不可欠なんです」(鈴木さん)

    「食事では、骨を構成するタンパク質とカルシウムを適切な量摂取することが大前提。またカルシウムの吸収を良くする働きがあるビタミンDも大切です。運動では、骨に適切な刺激を与える“衝撃”、筋肉の収縮によって骨を引っ張る“牽引”、体重や重さを使った“荷重”の3つを意識した動きを取り入れて骨を強くしつつ、カラダが歪まないように姿勢にも気を付けましょう」(河村さん)

    これらのポイントを押さえて、今の自分の生活に取り入れやすい、骨活ルーティンを実践してみて。

    朝

    起きたらカーテンを開けて、太陽の光を浴びる

    まず朝起きたら、約24時間のリズムを作るために、体内時計をリセットし、自律神経やホルモンバランスを整えることから始めよう。

    「人間には、体内時計を調整する『時計遺伝子』というものが備わっています。これが、骨の成長や新陳代謝、ホルモン分泌など、様々な生理機能をコントロールしています。目覚めとともに太陽の光を浴びることで、朝が来たことを認識し、カラダが活動モードに自然と切り替わります」(鈴木さん)。

    また太陽の光の刺激は、神経伝達物質であるセロトニンの分泌も促してくれるので、心とリズムを整えてくれる効果も。

    朝食は骨吸収を抑えるスイッチに

    朝食を抜くことは、骨折のリスクを高める。

    「骨吸収は、夜間に活発になるといわれており、それを抑えてくれるのが朝食だということが最近の研究で明らかに。人間はカルシウムの吸収率がすごく低いため、一日の中でもこまめに摂取することが大切です。特に朝は睡眠中に栄養補給ができず、体内のエネルギーや栄養素が不足しやすい状態です。だからこそタンパク質、カルシウム、ビタミンDの栄養バランスが整った食事を心がけましょう」(河村さん)。

    朝食は、焼いた鮭やイワシなど魚をメインとした食事に、豆乳やヨーグルトを加えるのがおすすめ。

    通勤時にはエスカレーターより階段を。電車内では立つことを意識して

    忙しい現代人は、移動中のスキマ時間を活用してカラダを動かして骨を強化すべし。

    「運動には、骨にカルシウムを沈着させる効果が。また筋肉が減ると骨への刺激も減るため、カラダを動かすことは骨粗鬆症の予防に有効です」(鈴木さん)。

    「ただ歩くより、筋肉に負荷をかける動きを取り入れた方が効果的。たとえばエスカレーターではなく階段を使い、電車でも座るより立つこと。また、つり革につかまる時は、つり革を引っ張りながら背筋を伸ばし、腋でグッと引っ張り片足立ちしたりと、骨に力学的な刺激を与えることを意識して」(河村さん)

    昼

    デスクワーク中は、膝の間にペットボトルを挟む

    座りっぱなしの生活がカラダを歪ませ、骨に悪い影響を与える。

    「ずっと座っていると、骨盤が後ろへ引っ張られ、腰が丸まりやすくなります。坐骨を立てて真っすぐ座るようにすると、姿勢が崩れにくくなり、背骨への負担軽減に繋がります。また骨の歪みを防ぐために、体幹のインナーマッスルを鍛えることも大切」(河村さん)。

    そこで仕事中でも気軽にできる方法を河村さんが伝授。

    「おすすめは椅子に座る際に、500mLのペットボトルを両膝で挟み、お尻を突き出しながら座ること。自然と坐骨が立ち内転筋に力が入るので、良い姿勢を保ちやすくなります」

    お昼休憩で数分外に出る

    カルシウムの吸収を助け、骨が作られる過程で大きな役割を果たす栄養素のひとつ・ビタミンDは、食品からの摂取だけでなく、日光を浴びることでも体内で合成される。

    「ビタミンDを合成する紫外線は、太陽が高い位置にある午前11時~午後1時ぐらいがピークに。ランチ後の腹ごなしついでに、散歩して日の光を浴びましょう」(鈴木さん)。

    5~15分程度でビタミンDが生成されるので、リフレッシュがてらに太陽の光を浴びれば、午後からの仕事の集中力とパフォーマンスもアップ。その程度の時間なら肌への影響も少ないのでご安心を。

    1時間に1回は席を立ってカラダを動かす

    充実のお昼休みを過ごし、午後も仕事に邁進! しかし集中して作業に取り掛かっていると、つい立つことを忘れてしまうことも。

    「長時間座りっぱなしで、体幹が固定されたまま同じ姿勢で過ごしていると背骨の可動域を狭めて、カラダはガチガチになるし、骨にとって良い刺激が加わりません。また、座り続けていると関節がその歪んだ状態に固定され、それに合わせて筋肉がついたり、骨格の歪みに繋がるので注意が必要。1時間に1回を目安にまめに立ち上がり、屈伸したり、スクワットしたり、少しでいいのでカラダを動かしましょう」(鈴木さん)

    加工食品やエナジードリンク、カフェインの過剰摂取に注意

    加工食品や過剰なカフェインは、カルシウムの吸収を阻害したり、カルシウムの排出を促したりするため、日中の間食や飲み物にも気を付けること。

    「加工食品には特殊な形の『リン』が含まれており、このリンを摂りすぎると、カルシウムの吸収や代謝に悪影響を及ぼします」(河村さん)。

    「またエナジードリンクやコーヒーなどに含まれるカフェインの過剰摂取は、尿へのカルシウム排泄を増やすだけでなく、骨密度に悪影響を与えることがわかっています。もちろん、1日2~3杯程度のコーヒーは問題ありません」(鈴木さん)

    用を足す時は、便座にお尻をつけずに

    一日デスクワークを続けて、夕方にもなってくると、脚はパンパンに! あまりにもむくみが気になる人は、骨盤の歪みが原因かも!?

    「骨盤まわりの筋肉が硬くなると、下半身の血液やリンパの流れが滞り、むくみやすくなります。なので骨盤まわりの柔軟性を保つために、下半身もこまめに動かしましょう。しかし職場ではなかなかそれができないため、トイレの時間を利用してトレーニング。便座にお尻をつけずに用を足すと、太ももやお尻の筋肉が刺激されるだけでなく、女性の健康と密接に関わる骨盤底筋の強化にも繋がります」(河村さん)

    夜

    夕食に“乳和食”を取り入れカルシウムを補おう

    カルシウムの吸収率は成人で20~30%とあまり高くないため、朝だけでなく、昼や夜も摂取したい。ただ、カルシウムを含んだ食材ばかりを食べるのは飽きてくる。そこで注目を集めているのが、日ごろのカルシウム不足が自然に補える、新しいスタイルの“乳和食”という調理法。

    「乳和食は、味噌や醤油など日本の伝統的調味料に、牛乳を組み合わせること。減塩や食材の臭み消しになるだけでなく、味にまろみやコクが出て、ひと味違う和食が楽しめます」(鈴木さん)。

    味噌汁や煮物、鍋料理などに牛乳をプラスするだけ。骨が強くなり料理の幅も広がる!

    入浴は寝る1時間前に済ませる

    食べたものが消化されるまで2~3時間かかるため、夕食は寝る3時間前までに済ませ、その後は心地よい眠りに導いていくためにゆったりと過ごすこと。そして、入浴によってカラダを十分に温めることが大きなポイント。

    「骨や筋肉の生成を促す成長ホルモンは、入眠から3時間の間に大量に分泌されます。その分泌を活性化するには、質の良い睡眠が必要です。お風呂から出て深部体温が下がり始めるタイミングでベッドに入ると、スムーズに入眠できるので、入浴は寝る1時間前に済ませるのがベストです」(鈴木さん)

    日中に硬くなった筋肉をほぐすストレッチを

    自律神経のバランスを整えるために軽いストレッチを行うのも有効。

    「活動を担う交感神経と、休息を担う副交感神経があり、筋肉を緩め、呼吸を深めることで、副交感神経が優位になり、眠りに入りやすい状態を作ることができます」(鈴木さん)。

    「デスクワークで凝り固まったお尻や股関節を柔軟にするストレッチがおすすめ。たとえば椅子に座って片方の足を膝の上に置いて4の字にしてカラダを倒したり、床で両膝を思いっきり外に開いた状態で四つん這いになるストレッチは、カラダを緩めるだけでなく、心も整えてくれます」(河村さん)

    寝る時は仰向けか、横向きならクッションを挟む

    「寝る時の姿勢としては、仰向けが一番カラダに歪みが出にくいといわれています。横向きで寝る場合は、膝の間に抱き枕やクッションを挟んで、骨盤や関節への負担を減らす対策を行いましょう。また、寝る前にスマホを見るのはご法度! ブルーライトを浴びると体内時計が乱れ、睡眠と覚醒のリズムが崩れてしまうため、電気を消して、スマホも置いて心穏やかに寝るべし!」(鈴木さん)。

    朝、日光を浴びて分泌されたセロトニンは、その約14時間後に睡眠ホルモンのメラトニンに変換されるため、規則正しい生活を送るだけで、骨はどんどん強くなる!

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    写真・中島慶子 イラスト・Yo Ueda 取材、文・鈴木恵美

    anan 2517号(2026年10月28日発売)より
    Check!

    No.2517掲載

    骨トレでカラダ調整 2026

    2026年10月28日発売

    今の時期からコツコツと鍛えたり、整えることで、健康な骨づくりにつながっていく──。体の土台となる背骨のコンディショニングや足首の骨格を整える関節整体、カルシウムやタンパク質を摂る骨育ごはんレシピなど、骨がよろこぶTO DOリストなどを紹介。

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