YOSHIKI「ファンとの間で生まれる“愛の連鎖”が、僕を支えてくれる」

デビュー以来、X JAPANのリーダーとして数々の名曲をこの世に送り出し、今もロックの伝説を紡ぎ続けるスターYOSHIKIさん。1月の緊急帰国の際、約3年ぶりにananへの出演が実現。

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    100年、200年後に、僕の芸術で誰かが感動してくれたら

    「人を楽しませることが好きなんです。それは小さい頃から変わらないですね」

    エンターテイナーである自身の活動の原点について尋ねると、笑顔とともに、そう回答してくれたYOSHIKIさん。ファンの間では知られたエピソードだが、幼い頃父を亡くし、悲しみの底にいたYOSHIKIさんを救ってくれたのが、音楽だったそう。

    「すでにその時期にはピアノを習っていたのでクラシック音楽に触れてはいたのですが、父を失った苦しみから立ち直るきっかけをくれたのがロックだった。初めてコンサートを観たのは11歳のとき、ハードロックバンドのKISSで、ものすごく救われたんです。その経験があったから、僕も自分の人生を通じて、誰かを勇気づけたり、楽しませることができたら…と思ったのが最初ですね。僕の生み出す作品やパフォーマンスで、みなさんがエンターテインしてくれる、つまり楽しんでくれることが、一番の幸せ。僕の芸術によって誰かが何かを感じてくれて、例えば“感動した”とか“ありがとう”といった言葉をもらうやりとりが、僕を支えてくれるんです。愛の連鎖…と言うと大げさかもしれないけれど、その“思いの循環”に、僕は感動するんです」

    音楽や映像、またファッションやワイン造りなど。さまざまな芸術を生み出すYOSHIKIさんがこだわり続けているのが、〈美学〉。確かにその生き様は、美しさの創造に身を捧げているといっても過言ではない。

    「美は、一瞬で生まれたり、理解できるものではなく、僕は深いものだと思っています。深ければ深いほど、発見も感動も多い。最初に見た瞬間に美しいと思うものよりも、眺めているうちに徐々に美しいと思わせられる、そういうものが好きですし、僕が作りたいのもそういう作品。最近はデジタルやAIの進化が目覚ましく、いろいろなことの速度が上がっていますよね。音楽に関しても、“最初の5秒が勝負”といわれたりもしますし。でも僕は、生きている今があり、そこから100年後、200年後に、“かつてこういう芸術が作られていたんだ”と感動してもらえることのほうに興味がある。速いサイクルの評価で生まれるトレンドと、僕が目指す芸術は、もしかすると真逆なのかもしれません」

    人生が終わるときに後悔がない。そんな生き方をしたい

    昨年11月、サウジアラビアのユネスコ世界遺産〈ヘグラ〉で開催されたスペシャルコンサートに参加。このコンサート「Hegra Candlelit Classics」は、選ばれし世界的巨匠だけが出演してきたシリーズで、日本人として参加するのはYOSHIKIさんが初。ロックとクラシックを融合させた音楽と圧倒的なパフォーマンスで、観客を魅了。3度目の頸椎の手術と長いリハビリ後の初の海外演奏は、YOSHIKIさんにとっても感慨深い経験だった。

    「自分が音楽を始めたときは、クラシックのピアニストになりたいとか、オーケストラと共演したいとか、その後ロックスターになりたいとも思ったり、いろんな夢を見ながら歩んできましたが、まさかサウジアラビアの、しかも数年前までまったく外の世界に開かれていなかった世界遺産で演奏できることになるなんて…。しかも僕、ラクダに乗ったんですよ、人生で初めて。ラクダで砂漠を歩きながら、“いったい僕はなぜここにいて、なにが起こっているんだろう…”という気持ちになりました(笑)。すごくいい意味で、人生って不思議ですよね。いろんな夢を追いかけてきた結果、いま僕がいる場所にたどり着いた。すべての経験が、次の経験の入り口なんですね。改めて、自分が音楽を含めいろんな芸術を作り続けられたことに、感謝と幸せを感じました」

    そういった経験をした今、YOSHIKIさんは創作意欲にあふれている。

    「実は僕、今までほとんどスランプがないんです…って、僕が言ってもあまり説得力がないと思いますが(笑)。いつも僕の中には音楽が湧いていますが、ここ数年、いろんな文化などさまざまなものに触れ、それらを吸収した結果、いま僕の中には、ますます音楽があふれています。だから今、創作がしたくてしたくて、仕方がない状態ですね」

    桜が咲き誇り、一年で最も美しいといわれる4月の東京で、2年半ぶりにコンサートを開催。タイトルは、「YOSHIKI CLASSICAL 2026 覚醒前夜 ― Tokyo 3 Nights 世界への第一章」。2014年から開催されている、クラシックとロックが融合するYOSHIKIさんならではの特別なステージだが、今回はかなりアート色の強いものになる予感。

    「これまでは、“クラシックのコンサートにしては派手”という雰囲気だったんですが、今回はセットや演出に現代アート的なものを融合させたいと思っているので、いらしたことがある方も驚いてくださるかな、と思います」

    芸術を生み出すことは、人生とは何か、という問いに向き合うこと。このコンサートでも、その問いを追求していきたい、とYOSHIKIさん。

    「観てくださった方にとって、これからどう生きようと思うきっかけになったり、人生のターニングポイントとなったら嬉しいです」

    最後に、YOSHIKIさんにとっての人生とは何なのか、それを尋ねてみた。

    「否定的な意味ではなく、僕は死から逆算し、“今”を考えるところがあります。果たして自分はあとどのくらい生きられるのか。そして自分が息を引き取る瞬間に後悔がなければ、素敵な人生なんだろうと考えています。そこに向かって、今をどう生きるか。それを模索し続けていくことが、僕にとっての人生なんだと思います」

    Profile

    YOSHIKI

    ヨシキ 作詞家、作曲家。「X JAPAN」のドラマー、ピアニストであり、リーダー、メインコンポーザー。近年は映画『YOSHIKI:UNDER THE SKY』で映画監督を務め、また『MAISON YOSHIKI PARIS』のファッションデザイナーとしても活躍している。

    information

    アートとクラシック、未体験の感動の夜

    2014年より続くクラシックのコンサートが、この春にも開催される。今回のタイトルは「YOSHIKI CLASSICAL 2026 覚醒前夜 ― Tokyo 3 Nights 世界への第一章」。首の手術、長期のリハビリ、そしてサウジアラビアでのコンサートを経て、待望の“完全復帰”のコンサート。4月3~5日に東京ガーデンシアターで開催。公式サイト

    写真・森山将人(TRIVAL) スタイリスト・奥村嘉之(a style inc.) ヘア&メイク・高木俊浩(SEED&beauty) 取材、文・河野友紀

    anan 2485号(2026年2月25日発売)より
    Check!

    No.2485掲載

    エンタメの系譜 2026

    2026年02月25日発売

    日本エンタメ界で長く人気を誇る“王道”エンタメの現在地を深掘り。若手のブーストステージ『教場』をはじめ、再注目を浴びる時代劇や特撮戦隊ヒーロー、ラブコメの魅力も考察。5月で閉場する大阪松竹座ゆかりのグラビアも必見。さらに、現在ボーイズグループオーディションを手掛ける秋元康さんにもロングインタビュー。スポーツエンタメの頂点ともいえるメジャーリーグに関するページも。

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