門脇麦「毎回学びの連続です」 熊林弘高演出の舞台『陽気な幽霊』に挑む

エンタメ
2025.04.26

門脇 麦さん

幽霊といったら、普通は現世への未練や恨みを抱いて現れるものだが、本作は『陽気な幽霊』のタイトルである。この幽霊というのが、田中圭さん扮する主人公チャールズの7年前に亡くなった元妻エルビラ(若村麻由美)。そして門脇麦さんが演じるのは現在の妻ルース。幽霊となって現れた元妻はチャールズにしか見えず、それが原因でルースとチャールズの仲がこじれていく。

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演出の熊林さんとのお仕事は、毎回学びの連続です。

「舞台上でこれだけ女性同士がバトルする物語って、あまりないと思うんですよ。エルビラ役の若村さんや霊媒師役の高畑(淳子)さんをはじめ、先輩方とご一緒できることが今から非常に楽しみです」

ルースもまた、幽霊相手に一歩も引かない強気なキャラクター。

「熊林(弘高)さんの稽古はどんな演出が待っているかわからないワクワク感が常に溢れています。熊林さん演出の舞台では喜怒哀楽を表に出す役が多いんです。映像ではあまりないし、普段、怒りを感じることのない人間ですが、自分の中のそういう部分を引き出してもらえます」

その熊林さんとは、これまで2作の舞台を共にしており、「熊林さんとは互いに信頼関係を築いてこられたと思います」と話す。

「考え方が似ていて、波長が合うと私としては勝手に思っています。熊林さんは、リアリティというよりも様式美を追求した演出をされる方なのかと感じています。日常に反した動きを要求されることもありますが、私はもともとバレエをやっていたこともあって、セリフと肉体が乖離していても特に違和感ややりづらさを感じることもなく日々稽古に取り組んでいます。まさかそうくるとは思っていなかったと思うような演出を受けたり、幕が開いてから演出の変更があったりしますが、一緒の現場は毎回学びの連続です」

聞いていると大変そうに思うけれど、話すご本人はとても楽しげ。

「役の感情に沿っていない動きだと思っても、その動作でセリフを言ってみると逆に気持ちのほうが変わったりするんですよ。テンションの高い場面のつもりじゃなかったのに、熊林さんに言われて踊りながらセリフを発してみたら、それまで見えなかった世界が見えたり。自分から想定外のものが引き出されることもあるので、楽しいです」

門脇さんというと、表情や佇まいで役の心情や些細な心の動きを表現してみせる人、という印象。しかし、「気持ちから役を作るタイプではないと思います」とぶっちゃける。

「役になりきるとかはなく、基本的に気持ちもテンションも門脇のままです。ただ、スタッフさんや監督と一緒にキャラクターを具現化してゆく衣装合わせの時間は大事にしています。服装から、きちっと座る人なのか、その人の趣味嗜好や生き方、人柄があらわれると思うし、そこから肉体の面持ち…役の姿勢については考えますね」

心よりも肉体のありようから役を構築していく人なのだろう。

「それこそ熊林さん演出の舞台『パンドラの鐘』では、ここのセリフを何歩で言うのかを自分の中で決めたりしていました。たとえそれが妥当じゃなかったとしても、自分に合った肉体の動きを探すのが楽しいので、そのへんはかなりこだわっていたかもしれません」

そのせいなのか、役柄やポジションは関係なく、舞台上の門脇さんがたまに、劇場の空気をコントロールしていると感じる瞬間がある。

「客席の空気をいつも気にしているからというのはあるかもしれません。今日はいつもよりパワーで劇場を満たさなければと感じる日もあります。また、今日は少し劇場の空気が重いなと感じたら、もうちょっとテンポを上げていこうかとみんなで話すことも。だから舞台はつねに高揚感と緊張感があって毎日が新鮮ですね」

PROFILE プロフィール

門脇 麦さん

かどわき・むぎ 1992年8月10日生まれ。近作に、舞台『未来少年コナン』、ドラマ『厨房のありす』『秘密~THE TOP SECRET~』など。11月には二兎社の舞台『狩場の悲劇』への出演が決まっている。

INFORMATION インフォメーション

『陽気な幽霊』

小説家チャールズ(田中)は、霊媒師アーカティ夫人(高畑)を自宅に招き降霊会を開催。霊は現れなかったが、その夜、チャールズだけ7年前に亡くなった元妻エルビラ(若村)の霊が見え…。5/3(土)~29(木) 日比谷・シアタークリエ 作/ノエル・カワード 演出/熊林弘高 出演/田中圭、若村麻由美、門脇麦、天野はな、あめくみちこ、佐藤B作、高畑淳子 全席指定1万2000円 東宝テレザーブ TEL:0570・00・7777(11:00~17:00) 5/12(月)追加公演あり。大阪、福岡公演あり。

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写真・小笠原真紀 スタイリスト・佐々木 翔 ヘア&メイク・宮本佳和(BE NATURAL) インタビュー、文・望月リサ

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