アジアを中心に記録的な大ヒットとなったタイ映画『おばあちゃんと僕の約束』がついに日本公開! 本作で主演をつとめる人気俳優・アーティストのビルキン(Billkin)こと、プッティポン・アッサラッタナクンにインタビューしました。

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    世界中で人気を博したタイドラマ『I Told Sunset About You』(以下:ITSAY)(2020)、『I Promised You the Moon』(2021)で主演を務め、一躍スター俳優となったビルキンさん。ここ数年、アーティストとして精力的に活動を続けてきた彼による待望の主演映画『おばあちゃんと僕の約束』が、6月13日よりついに日本でも公開されます。

    昨年4月にタイで公開し記録的な大ヒットとなり、第97回アカデミー賞国際長編映画賞ショートリストに選出されました。本作で描かれるのは、祖母と孫を中心とした三世代の家族の物語。老後の孤独感や家族内での男女の役割差といった多くの家庭が抱えるテーマを丁寧に紡ぎ出し、アジアを中心に大きな反響を呼んでいます。

    ananでも過去2回、ユニット・Billkin & PP Kritとして登場しましたが、今回は、ビルキンさんにオンライン取材を敢行! 俳優復帰を決めた経緯や自身の家族との思い出、日本のファンに対する想いをたっぷり語っていただきました。

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    「振り返った時に、自分を誇りに思える作品に出演したい」

    ── 俳優としては久々の作品になりますが、本作への出演を決めた経緯を教えて下さい。

    前のドラマを撮り終えた時から、ずっと演技をしたいなと思い続けてきました。常に出演する作品を探していたし、実際にたくさんのオファーもいただいていたんです。ただ、内容が今の自分と合っていなかったり、人生のタイムライン的に難しかったりと、なかなかタイミングが合わなくて…。

    でも、そういった時期も特に焦りはありませんでした。僕は演技をとても愛しているけれど、アーティスト活動もしているし、他にもビジネスをいろいろやっているから、時間配分がとっても大切なんですよ。

    演技の仕事は一旦引き受けると、準備時期から最後の編集までかなり時間がかかる。それに心身ともにすごく注力するので、出演作はしっかり選ばないといけない。そう考えると、焦って演技をする必要はないなって。演じることで幸せな気分になれる作品、将来振り返った時に自分を誇りに思えると感じた作品を探す中で、今作に出合った感じですね。

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    ── オファーの中から作品を選ぶ際、家族や俳優仲間に相談はしますか?

    マネージャーやスタッフなど、いろんな人に相談します。例えば、『ITSAY』のBoss監督(Naruebet Kuno、ナルエベット・クノ)や、今回の映画のPat監督(Pat Boonnitipat、パット・ブーンニティパット)、Nadao(ナダオ・バンコク、所属していたコンテンツ制作会社、2022年6月に運営終了)時代にお世話になったYong監督(Songyos Sugmakanan、ソンヨット・スックマークアナン)のように、僕が尊敬している人たちに聞くことが多いかな。ただし、引き受けるかどうかを決めるのはやっぱり自分。アーティスト活動などの仕事も含めて、全体のイメージを考えた上で決めています。

    「成功に対するプレッシャーに悩むことはありません」

    ── 『ITSAY』で大きな成功を経験したことで、俳優としてのスタンスに変化はありましたか?

    僕は自分のことをとってもラッキーだと思っているんです。素晴らしいプロジェクトでこの仕事を始めることができたし、ドラマの成功のおかげでチャンスがすごく広がったと思います。エンタメ産業全体で見たら僕が受けている演技の仕事の数は多くないけれど、量よりも質に重きを置くことが僕なりのスタンス。一つひとつをしっかり精査して、本当にいいと思う作品に出たいなと思っています。

    ── 次回作に対するプレッシャーはあったのでしょうか?

    プレッシャーはあまり感じないかな。なぜかというと、僕は仕事を選ぶ上でプロジェクトの内容や一緒に働く相手をすごく吟味するんです。だからこそ、もしそのプロジェクトがいい評価を得たとしても、それは僕一人のものではなくて監督や共演者といったグループ全体での成功ということ。僕は作品内でキャラクターを体現するだけなので、成功に対する個人的な重圧に悩むことは特にないですね。

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    「おばあちゃんの教えを、毎日、毎分、毎秒実行しています」

    ── 本作でビルキンさん演じる主人公のエムはおばあさんと一緒に時間を過ごしますが、ビルキンさん自身のおばあさまとの思い出があれば教えて下さい。

    おばあちゃんとは生まれた時からずっと同居していて、とっても仲良し。家に帰った時に『今日は何してた?』とか『体の調子はどう?』とたわいもない話をしたり、おばあちゃんの子供時代や若い頃の経験をシェアしてもらったり…。

    僕はおばあちゃんをからかうのが大好きなイタズラっ子なので(笑)、おしゃべりするだけでとってもハッピーな気分になれるんです。それに、おばあちゃんが僕のことを誇りに思ってくれているのもすごく嬉しい。そうやっておばあちゃんと過ごす時間に慣れていたおかげで、今作の撮影では自分の実体験をかなり活かすことができました。

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    ── 作品の中でおばあさんから「一つのことをやり続けなさい」と教えを受ける場面がありましたが、ビルキンさんがおばあさんやご家族から教わったことで印象的なものを教えて下さい。

    おばあちゃんから、繰り返し教わっていることがあるんです。それは、「何をするにしても、一生懸命に取り組みなさい」ということ。どんな職業に就いてもいいけれど、人を騙したりズルしたりせずに常にいい人でいなさい、と言われますね。あとは、「いい家族関係を築きなさい」とも。もちろん、毎日、毎分、毎秒実行しています!(笑)

    「ドラマでも映画でも、いい機会があれば日本で活動してみたい」

    ── 映画のタイトルは『おばあちゃんと僕の約束』ですが、もしファンの方と何か約束をするとしたら?

    近いうちに、日本のファンに会いに行くことを約束します! でも、それより前にプライベートで遊びに行っちゃうかも(笑)。実は1年に何回も日本を訪れていて、子供の頃から数えると20回くらい行っているかな。東京、大阪、福岡、札幌…、世界遺産にも行きましたし、実は近々また日本に行くつもり。日本の文化や日本のものに触れているとすごく幸せだし、日本をとっても愛しています。

    ── 最近はタイの俳優の方が日本のドラマに出演したり、日本の俳優がタイドラマに出演したりと、国を超えて活動される方が増えています。ビルキンさんは今後日本で活動するとしたら、どういったことがしたいですか?

    エンタメに限らず、どんなジャンルでもいいので日本で仕事をする機会があるといいなと思っています。なぜなら、僕自身が日本の映画、ドラマ、音楽といった、いろいろなものにインスピレーションを受けているから。

    以前ファンミーティングやアルバムのPRで日本を訪れた際も、日本人スタッフの皆さんと一緒にお仕事をすることができてとても嬉しかったんですよね。なので、いい機会に恵まれたら、ドラマでも映画でもめちゃくちゃ喜んで活動しますよ!

    ── 最後に、映画を楽しみにしている日本のファンにメッセージをお願いします。

    日本のファンの皆さん、いつも応援ありがとうございます。僕が日本で仕事をするチャンスがあるのは、素敵なファンの方々のおかげです。皆さんが映画『おばあちゃんと僕の約束』の公開を楽しみに待っていてくださることに、心からお礼を言いたくて…。本当にありがとうございます! もしまたお会いできる機会があれば、感謝の気持ちを直接お伝えできたら嬉しいです。

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    profile

    Billkin

    ビルキン(Putthipong Assaratanakul、プッティポン・アッサラッタナクン) 1999年10月8日生まれ、タイ出身。2020年にPP Krit(Krit Amnuaydechkorn、クリット・アンムアイデーチャコーン)と共に主演を務めたドラマ『I Told Sunset About You 〜僕の愛を君の心で訳して〜』が世界的にヒット。続編となる『I Promised You the Moon ~僕の愛を君の心で訳して~』(2021)も大きな話題に。多彩な表現力と艶やかな歌声を活かし、歌手としても活動中。

    information

    『おばあちゃんと僕の約束』

    2024年4月にタイで公開され、大ヒットを記録した話題作。大学を中退してゲーム実況者を目指す主人公エム(ビルキン)と病に侵された祖母の関係を中心に、三世代が織りなす普遍的な家族の物語を描く。どこか懐かしいバンコクの街並みやタイの伝統的な風習を印象的に映し出し、観終わった後にあたたかな余韻が心に残るヒューマンドラマ。6月13日(金)より、新宿ピカデリーほかにて全国順次公開。

    通訳・高杉美和 取材、文・真島絵麻里

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