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課題が尽きない社会人こそ学び始めるしかない!
働きながら大学院に通う人や、一度社会に出てから大学院で学ぶ人も珍しくない昨今。
「課題に出合い、何か解決方法はないだろうか? と思った瞬間が学びの始まりです」
そう話すのは、事業創造大学院大学で教鞭を執る浅野浩美さん。
「社会人として仕事に向き合うと、身の回りは研究テーマだらけであることに気がつきます。大学院で学ぶことで、新たなモノの見方ができるように。“学び方”を習得すれば、変化の時代を生き抜くための、一生の糧になりますよ」
興味のある分野を追究する修士課程では、多くの社会人が意欲的に学びに励むという。近しい関心を持つ仲間と、世代や性別を超えて意見を出し合える環境が魅力だ。さらに研究を深めたい人が進む博士課程では、研究テーマが新しく有用であるかが問われるため、高いレベルが求められるそう。
今回は、大学院に関する、選択肢や流れをご紹介。学びを重ねて、自分の可能性を広げてみよう!
生き方が広がる! 大学院で達成できること。
ビジネスに役立つ知識を深めたり、資格を得て新たなキャリアに挑戦したり、好奇心が赴くままに学んだり…。人によって学ぶ目的はさまざま。大学院なら、自分の興味をとことん深掘りできる!
例えばMBA(経営学)だったら…ビジネスで活かせるスキルが身につく!
「MBAを取得する過程で、論理的・批判的思考力、データ活用・分析力などを鍛えます。仕事の場面でもっと信頼される人材を目指せますよ」
課題を発見し、仮説に基づき解決法を探るのがビジネスの基本。MBAでの学びは強い武器になりそう。
例えば人文科学系だったら…専門分野の研究を深める!
大学時代に夢中になった研究分野が忘れられなければ、大学院で再挑戦してみよう。文学や歴史、美術、言語学や社会学など、研究を始めるのに遅すぎることはない。仕事に直結しない分野でも、研究を通して思考力やデータ処理能力の向上などが期待できる。
例えば法学・心理学・会計学系だったら…専門的な資格を取得する!
弁護士や臨床心理士など、取りたい資格や分野によって、大学院での学びが1ステップになることも。体系的に知識を得ることはもちろん、実習経験も積める。
「税理士など、修士号取得で科目の試験が一部免除されるものも。大学院の学びが活用できます」
想像してみよう! 大学院入学への道。
少しでも興味を持ったなら、スマホを片手に、気軽に情報収集からスタートしてみよう。思ったよりハードルが低いと感じる人も。「大学院進学の道、アリかも!?」
1、学びたいことを明確にする。
日常生活の中で、「これ、どうにかならないの?」と感じたなら、すでに学びの入り口。マネジメントなどの人材領域や会計業務など、業務に関わることなら見つけやすいし、身近な問題や社会課題に目を向けてみても。興味を持ったら、スルーせず向き合ってみよう。
履修証明プログラム
大学や大学院に正規入学せず、単一科目から履修できる制度。興味のある分野をピンポイントで学べるので、気軽さが魅力。単位を取得すると「履修証明書」が発行される。
オープンカレッジ
大学や専門機関が提供する一般向けの公開講座。受講費用も安価で、広く門戸を開く学びの場。1日で完結する講座から、数週間・数か月間続くものも。老若男女、生涯学習に取り組める。
2、費用や授業形態の条件の検討。
学費の経済的負担を抑えるため、社会人向けの給付金や奨学金のリサーチはマストだ。学ぶ分野によっては、会社から経済支援を受けられることも。働きながら大学院に通う場合、業務と両立できるかをよく確認しよう。職場と相談できるなら、休職するのもアリ。
社会人大学院
授業は平日夜間や週末に行い、職場での実務経験を重視するなど、大学院で学びたい社会人向けに設計されている。仕事と両立しやすいため、働きながら学びたい人は検討してみて。
教育訓練給付金
一定の要件を満たしていれば対象となる。法科大学院、MBAなど専門職大学院では最大で受講費用の80%(年間上限64万円)、それ以外の大学院は同20%(同10万円)を受け取れる。
3、書類の準備を進める。
通いたい大学院の見当がついたら、必要書類の準備を始めて。入学願書に研究計画書、職務経歴書、勤務先の承諾書、卒業校の卒業証明書や成績証明書など、必要書類は多岐にわたる。卒業時と姓が変わっている場合など、手配に時間がかかる場合も。
研究計画書
大学院で何を研究したいのかを具体的にまとめる、大学院入試の重要書類。「実際の研究は計画書通りにはいかないもの。基本的な構成に沿って、問題意識をまとめてみて」
PROFILE プロフィール
浅野浩美さん
事業創造大学院大学教授。’21年まで厚生労働省で人材領域の政策企画立案に関わり、労働局長として働き方改革を推進。社会保険労務士、日本キャリアデザイン学会理事ほか。
anan 2443号(2025年4月16日発売)より