武田梨奈×英語力“英語の習得は意識の変化にも繋がりました”
空手の黒帯を有する俳優の武田梨奈さんは、高い身体能力を生かしてこれまで海外のアクション作品への出演も、重ねてきている。
「海外からのオファーが急激に増えたのは、コロナ禍の時です。対面でのオーディションがままならない中、ビデオオーディションが普及して、外国籍の俳優にもチャンスが巡ってきやすくなったということと、自粛期間中に映画関係者が配信でさまざまな作品を観ている中で、私の出演作にも目が留まったということが重なったのかも。ただ、当時の私の英会話は初級レベル。ビデオオーディションでは、自分の語学力不足を痛感しましたし、せっかくの機会を言語の壁で逃してしまうのはとても悔しい。以前から本格的に英語の勉強をしたいと思っていたこともあり、コロナ禍が落ち着いた3年ほど前から、年に1~2回ずつ2週間程度の短期留学に行くようになりました」
ほとんど話せない状態からの短期留学のスタート。授業は1日約7時間を週に5日とストイック。
「最初はやっぱりキツくて…。でも、日本語が通じない環境なので、英語で話すしかない。振り返ってみると、私にはむしろそれぐらいのほうが合っていたようです。私の生真面目な性格もあり、授業のない土日も部屋で自習。クラスメイトの誘いも断っていたんですけど、ある日、『外に出ていっぱい英語を使えばいいんじゃない?』と言われたんです。それでみんなとビーチに行ったら楽しくて! 友だちともっと深い話をしたいと英語を駆使しているうちに、翌週には英語力がグンと伸びていました。机で勉強するだけではなく、楽しみながら実際に使うことが大切なんだと感じた出来事です」
短期留学のほか、毎日1時間のオンラインレッスンを2年ほど続けており、今では日常会話に困らないレベルに。
「自信を持ってそう言えるようになったのは、本当にここ最近のことです。英語の習得により、扱える言語が増えたのはもちろん、生きやすくなったと感じられるようにもなりました。私はもともと自分の意見を人に伝えるのが得意なタイプではありませんでしたが、現地の授業でディベートは日常的なこと。生まれ育った国も価値観も違うクラスメイトが、お互いに意見を言って、それを尊重し合うんです。その環境にいるうちに、建設的な思考が育まれていきましたし、自分の意見を素直に言えるようにもなりました」
それは国際的な作品に携わる際にも生かされているという。
「例えば、“危険かも”と思うアクションシーンも、以前なら否応なく受けていましたが、今は危険と感じる理由を伝えてディスカッションしながら進めていける。自分の言葉で自分の意見を直接伝えられるようになったからこそ、より深い意思疎通のもと、役に取り組めていると実感しています」
PROFILE プロフィール
武田梨奈さん
たけだ・りな 1991年6 月15日生まれ、神奈川県出身。近年の代表作はドラマ『ワカコ酒』シリーズ(テレ東系)など。公開待機作に日米印合作映画『Shambhala story』、フィリピン×日本合作映画『Chameleon』。
写真・小笠原真紀 スタイリスト・三島大輝 ヘア&メイク・イワタユイナ 取材、文・保手濱奈美
anan 2443号(2025年4月16日発売)より